2025/09/29

はじめての愛知県美術館!子どものおでかけミュージアムツアー、ワン・ツー・スリーGO

今回のミュージアムツアーは、2024年7月18日(木)〜9月23日(月・振休)「2024年度第2期コレクション展」で実施しました。

アート鑑賞は大人のもの?いいえ、そんなことはありません。年齢を問わず、アートは感性を刺激し、発想力や想像力も養ってくれます。素直な気持ちで楽しめる子どものころから慣れ親しめば、自然と好奇心や探究心が芽生えて、将来の可能性を広げてくれるはず。とは言え、「美術館はハードルが高い…」「大人の場所だから、子どもが行くのは難しそう」と思われている親御さんも多いのではないでしょうか。愛知県美術館によくあるご質問「小さい子どもは入館できますか?」の答えは「YES」です。お子さまも入館できますし、ベビーカーの持ち込みも可能。そして台数に限りはありますが、ベビーカーの貸出も対応(ご利用の際はインフォメーションのスタッフにお声かけください)という子連れウェルカムなムードなんですよ。

 

観覧料は中学生以下無料!だったら、まずは行ってみよう!ということで、「こども造形教室 岡崎ぎゃざ」のみんなが、愛知県美術館にモニターとして来てくれました。今回はその様子をレポートします。子どもたちがアートに触れたときの純粋な言葉や行動に、大人の私たちもはっと気づかされることが多い時間となりました。

 

ワン!はじめて美術館に行くあなたへ。愛知県美術館の楽しみ方

愛知芸術文化センター10階の美術館前に集まった「岡崎ぎゃざ」の子どもたちが、中野悠学芸員とご挨拶。美術館には行ったことがある子が多かったですが、「愛知県美術館に来たことがある人?」と聞くと、全員はじめてでした。好きなアーティストに、ピカソや、愛知県西尾市の画家・斎藤吾朗さんの名前が挙がり、アートに興味を持つ造形教室の子どもたちはミュージアムツアーを楽しみにしている様子です。

 

まずは「美術館がどういうところか」中野学芸員に教えてもらいました。

ここには、たくさんの誰かが作った作品が集まっています。

誰か、というのは、日本や、外国の人、ずっと昔の人もいれば、今も元気に作品を作っている人もいます。

 

これからお部屋のなかに入ると、いろいろな作品があります。

どう見たらおもしろいかな?

離れて全体を見てみたり、近づいて一部を細かく見たりして、

気になるところが見つかったら、それがその作品の入口です。

 

どんな作品と出会えるのか、想像するとワクワクしてきます。そして、作品を楽しむために気をつけたい大切なこと「注意事項 みなさんへのお願い」もみんなで確認しました。

 

ここにある作品は、とおい未来まで残していこう、そう思って、大切にしています。

 

傷つけないように、手や、手に持ったもので作品にさわらないようにしましょう。

メモを取るときは、インクのペンではなく鉛筆をつかいましょう。

 

飲み物や食べ物を持ち込んで、作品をよごしてしまうと大変です。

ゆっくり歩いて周りましょう。

 

作品を見ながら友だちと話をするのも楽しいけれど、 ひとりで静かに見たい人もいます。

ここにはいろんな人が見に来ています。

走ったり大きな声を出したりすると、危ないし、悲しむ人もいる、ということも覚えておいてください。

 

愛知県美術館が用意している「美術館へようこそ」のパンフレットを事前に確認しておくと安心です。コレクション展や企画展の部屋のこと、美術館でのマナーや作品を見て楽しむ方法が、子ども向けにわかりやすくまとめられています。愛知県美術館や愛知芸術文化センター内に置かれているので、自由にお持ちください。

 

ツーいよいよ入場!ミュージアムツアーがスタート

荷物はロッカーに預けます。リュックを背負っていたり、荷物が多いと他のお客さまの鑑賞の妨げになります。お金ではなく、専用のコインを投入するだけでOKのロッカーもあるので、お子さまでも簡単に利用できます。

 

美術館のインフォメーションにて、スケッチボードの貸し出しサービス(無料)を行っています。首にかければ両手が空くので、鑑賞メモを残したいときに便利です。今回はみんなに大きな付箋カードを渡して、「美術館で気づいたこと」「好きな作品・印象に残った作品」をどんどん書いてもらうことにしました。

 

 

中学生以下のお子さまはチケット不要、手ぶらで入館できます。中学生の方は、受付で学生証をご提示ください。

日常生活の当たり前が当たり前ではない。美術館のマナーを知った子どもたちの表情はキリッとして、ちょっぴり緊張。中野学芸員からのいくつかのお願いごと「触らない、走らない、騒がない、メモは鉛筆で、食べない飲まない」を守って、いざ展示室に入ります。

 

それぞれ自由に鑑賞開始!作品の世界に入って集中モードに。

 

 

スケッチする子もいれば、感想を書く子も、ソファに座って真剣なまなざしで絵を見る子もいて、三者三様。

 

グスタフ・クリムト 《人生は戦いなり(黄金の騎士)》1903年

グスタフ・クリムト《人生は戦いなり(黄金の騎士)》の前に集合。中野学芸員の「なにが見えるかな?」の問いかけに、「ただの馬じゃない」と言う子がいました。金色の目が4つあるように見えたそう。確かに、そうも見えますね。タイトルに注目した子は、「人生は、きっとそんな楽じゃない。戦いのようだから」と共感していました。

 

作品について、中野学芸員は「自分がいいと思う描き方をすると、それに賛成しない人も出てきて、クリムトは悩んだそうです。この絵は、自分の絵に賛成しない人に立ち向かっていく強い気持ちを込めて、クリムトが描いたものです」と解説。それぞれに思いを巡らせます。

 

愛知県美術館の所蔵作品に関するミュージアムワークシートもチェックしましょう。

 

グスタフ・クリムト《人生は戦いなり(黄金の騎士)》のシートには、作品解説や「この騎士がしゃべったら、何と言うと思いますか?」といった質問事項がいくつか書いてあります。みなさんもシートを手に取って、作品を探したり、その世界を想像したりしてみてください。

 

そして、パブロ・ピカソ《青い肩かけの女》に移動。愛知県美術館とワシントン・ナショナル・ギャラリー・オブ・アートおよびフィリップス・コレクションの共同調査により、作品の下層に、別の人物像を描いたと思われる描線を発見したと2023年に発表されました。ピカソの知られざる一面やアーティストの制作背景を知り、さらに興味が広がります。

 

 

中野学芸員とのギャラリートークの後は、再び個別鑑賞へ。思い思いの時間を過ごします。

 

 

 

 

企画展の展示室で同日開催していた「アブソリュート・チェアーズ 現代美術のなかの椅子なるもの」(会期終了)では、作品に座って記念撮影も。

ミュージアムツアーは終了!そして、別室へ移動します。

 

スリー!鑑賞後はみんなでミュージアムツアーのふりかえり

好きな作品や印象に残った作品を一人ずつ発表しました。自分の思ったことをみんなに伝えることで、一人ひとりの注目ポイントや感じ方が全然違っているとわかり、新たな発見があります。

 

 

 

 

 

子どもたちの発表 ※一部

  • 印象に残っているのは、木でできた人形です。目の焦点が合わなくて怖かったです。(舟越桂の作品と思われます)
  • ピカソの絵は青一色だけど、いろいろな色があってすごかった。僕が知っているピカソの絵とはジャンルが違って面白かったです。
  • 木の棒やお椀などが立体的に描かれていてすごいと思いました。(高橋由一の《厨房具》と思われます)

 

 

最後に、中野学芸員からご挨拶。「タイトルや作家の名前がなくても、どの感想がどの作品のことなのかが伝わってきました。それぞれ特徴を捉えていますね」と話しました。

 

「岡崎ぎゃざ」のみなさん、ありがとうございました!また遊びに来てくださいね。

 

愛知県美術館を含む愛知芸術文化センターでは、国際芸術祭「あいち2025」──灰と薔薇のあいまにを2025年9月13日(土)〜11月30日(日)に開催中。
2026年1月3日(土)~3月23日(月)には、巡回展「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」が愛知県美術館にやってきます。展覧会の会期中はコレクション展も同時開催。また、小・中学生、高校生を対象にした子ども鑑賞会も不定期で実施しています。
はじめての美術館となる子どもたちはもちろん、「美術館には行ったことがない」という大人のみなさんもおでかけください。

 

おまけ 愛知芸術文化センターの思ひ出

「岡崎ぎゃざ」の企画「〜あなたの思ひ出つくります〜」で、小学生のFくんがセンターの模型を作ってくれた力作です。ありがとうございました!

 


Special thanks!!

こども造形教室 岡崎ぎゃざ

岡崎校 
場所/愛知県岡崎市能見通1-57
名古屋校 
場所/名古屋市中村区亀島1-9-10 アートハウス あいち内

 

INFORMATION

「その人らしく表現できる環境作り」をコンセプトに、工作を通して、人や地域、経済と関わり、生きる力を育む。工作もするし、絵も描く。CM依頼が来たらCMだって撮っちゃう。どんなことにも挑戦して、自分の可能性を広げよう。子どもたち自身で考え、選び、表現する、子どもたちの意見を尊重する、そんな「こども造形教室」です。2017年に岡崎校がスタート。2024年6月に名古屋校がオープンしました。子どもたちの作品は、「OKAGYAZA美術館」のInstagram(@okagyaza_museum)で公開しています。

 

Web https://okagyaza.jimdosite.com/
Instagram
岡崎校 https://www.instagram.com/okagyaza/
名古屋校 https://www.instagram.com/nagogyaza/
YouTube @okagyaza630

 

撮影・文/Re!na 編集/村瀬実希(MAISONETTE Inc.)

※ 掲載内容は2025年9月29日(月)現在のものです。

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