2026/02/12

学校招待公演 はじめまして ようこそ劇場へ♪ 絵本×朗読×パイプオルガン「終わらない夜」愛知県芸術劇場 舞台芸術鑑賞教室2025レポート

愛知県内には、小・中学生が1学年あたり約7万人います。「すべての子どもが、一生に一度は劇場を訪れる体験を」 ——そんな思いから生まれたのが、「愛知県芸術劇場 劇場と子ども7万人プロジェクト」です。この取り組みは、小・中・高校生を対象に、優れた舞台芸術へ無料招待するというもので、2015年度より県内の市町村と連携して進めてきました。
その一環として、愛知県芸術劇場では、学校との連携による「愛知県芸術劇場 舞台芸術鑑賞教室」シリーズを継続的に実施しています。2025年11月12日(水)に絵本・朗読・パイプオルガンを組み合わせた公演「終わらない夜」が上演され、多くの子どもたちが劇場を訪れました。会場となったのは、国内最大級のパイプオルガンを備える愛知県芸術劇場コンサートホールです。普段はクラシック音楽の公演などが行われるこのホールが、この日は「はじめて劇場を体験する」子どもたちを迎える学びの場となりました。

 


「愛知県芸術劇場 舞台芸術鑑賞教室」では、これまでにのべ 10,000人以上の児童・生徒が、オペラ・ダンス・パイプオルガンなど多彩な舞台芸術にふれてきました。


\教室を飛び出して、愛知県芸術劇場へ/

本公演は午前・午後の2回にわたり実施され、愛知県内各地の小・中・高校19校、約800人の子どもたちが学校招待で劇場に集まりました。

 

 

格式と特別感のあるコンサートホールにドキドキ、ワクワク。少し緊張しながらも、仲間と一緒に笑顔あふれる和やかな雰囲気も、舞台芸術鑑賞教室ならではです。

 

開演前の待ち時間には、パイプオルガンを間近で見学する学校もありました。「楽器の王様」と呼ばれるパイプオルガンの圧倒的な存在感に驚き、舞台上から離れた場所で演奏できるリモートコンソールにも、子どもたちは興味津々の様子。

 

さぁ、いよいよオルガンコンサート開演です!

 

【学校招待公演】絵本×朗読×パイプオルガン「終わらない夜」

カナダのトリックアート画家が手がけた絵本をもとに、当劇場が創作したオルガンプログラム。幻想的な絵をスクリーンに映し出しながら、本公演のために坂本日菜さんによって作曲されたオリジナルのオルガン曲を中心にお届けするコンサート(2024年初演作品)。国内で広く活躍するオルガニスト勝山雅世さんの演奏と俳優の藤井咲有里さんの朗読が融合し、約60分(休憩なし)の飽きさせない舞台で、音楽・文学・映像を一体的に体験できる貴重な機会です。

 

 

世界最大級の楽器は、まさに1台のオーケストラ!音のひみつに近づく「みんなのパイプオルガン入門〜音色編〜」

公演はまず、パイプオルガンの紹介からスタートします。愛知県芸術劇場コンサートホールのパイプオルガンは、ドイツのカール・シュッケ・ベルリン・オルガン製作所製。パイプ総本数は6,883本、ストップ(音色)は93種類を備え、曲に合わせて音色を作り出し、演奏するのがオルガニストの仕事です。オルガニストの勝山雅世さんによる解説は子どもたちにも親しみやすい内容で、パイプの太さや素材、かたちによって大きく4つに分けられる音質を、実際に聴き比べながら進行します。バッハやベートーヴェンなど、どこかで聴いたことがある曲にのせて、数多くのパイプから生まれる生演奏ならではの豊かな響きが広がり、客席の子どもたちは耳を澄ませて音に集中。「パイプオルガンってどんな音?」「どうやって音色は生まれるの?」という好奇心を刺激し、オルガンの仕組みや表現への理解を深めました。

 

朗読と音楽がひらく、「終わらない夜」の世界——絵本のページが、舞台になる

後半は、絵本『終わらない夜』の世界を舞台化した本編です。コンサートホール全体が夜に包まれるようなドラマチックな空間の中で、オルガニストの勝山雅世さんによるパイプオルガンの生演奏、俳優の藤井咲有里さんの朗読、そしてスクリーンに映し出される幻想的な絵が重なり合い、物語が静かに立ち上がっていきます。絵本『終わらない夜』は、16枚の絵に詩が添えられた作品で、本公演ではその一つひとつからインスピレーションを受け、作曲家の坂本日菜さんが書き下ろした全16曲によって構成されています。曲ごとに異なる音色や曲調、言葉の響きやリズム、映像の変化に導かれながら、子どもたちは物語の世界へと引き込まれていきました。

 

普段のスマートフォンやイヤホンでは出会えない音響と、大画面で味わう非日常の舞台芸術体験が、心を大きく揺さぶります。

カナダのトリックアート画家が描く、夢と現実の間の不確かな時間から生まれる不思議な夜の世界。ページがめくられるたび、想像力や創造力がふくらみます。

言葉を聴き、音を感じ、絵を見つめる。五感を使ったイメージや感覚が、子どもたちの中に静かに残り、豊かな心を育むきっかけに。

 

感じることからはじまる、舞台芸術の学び

© Kosaku Nakagawa

 


「愛知県芸術劇場 舞台芸術鑑賞教室」が大切にしているのは、「感じる体験」を届けることです。パイプオルガンの音色、朗読による言葉の響き、絵本の視覚表現を一体として味わうことで、音楽・美術・国語の学びが舞台上でひとつにつながり、さらに広がっていく総合的な表現を体験できます。
また、本事業は公演当日だけで完結するものではありません。参加校には事前に絵本『終わらない夜』を貸し出し、教員向けの説明会や公演・劇場に関するオリジナルパンフレットの配布も行っています。鑑賞前後の時間も含めて、子どもたちが舞台芸術に向き合えるよう、丁寧な準備が重ねられています。
 

学校に事前配布される当日プログラムとオルガン・ブックと、貸出される絵本。

 

\参加者のみなさまからのご感想/

  • パイプオルガンはたくさんの音色があって、弾くときにそれを使い分けて、いい曲をつくっているのがすごいなと思いました。4つのグループに分かれた音色によって響き方も違い、きちんと曲がつくり出されていると感じました。(小学6年生男子)

  • コンサートホールには何回か来たことがありますが、パイプオルガンのコンサートは初めてでした。実際に聴いてみると、その迫力と音色の多さにとても驚きました。朗読は、パイプオルガンの世界や絵本の世界に入り込んでいくような感じがして、面白かったです。(中学1年生男子)

  • いまは小学校の担任ですが、中学校では音楽を担当していました。子どもたちに生の音を聴かせたいという思いで参加し、とても満足しています。みんなの集中力がどれくらいもったかな、というところはありますが。パイプオルガンや絵本『終わらない夜』のお話についても事前に勉強してきたので、学校に戻ってからどんな感想が聞けるのか楽しみです。(小学校教員)

  • 音楽コースの生徒と一緒に参加しました。自分の専門科目は数学なので詳しいことはわかりませんが、愛知県芸術劇場コンサートホールにパイプオルガンがあることは知っていて、今回初めてその音を聴きました。多彩な音色やドイツ製ならではの迫力に、あらためて驚かされました。事前に絵本『終わらない夜』を読んで内容は把握していましたが、場面ごとに音楽が重なり、作曲の工夫や表現の豊かさを強く感じました。(中学校教員)

 

劇場との出会いを、すべての子どもへ
愛知県芸術劇場芸術監督 唐津絵理メッセージ

 

Message

劇場と子ども7万人プロジェクトは、すべての子どもたちが芸術文化に出会う機会を開き、その体験を人生の大切な糧として持ち帰ってもらうためにスタートしました。劇場に足を運ぶという特別な一日は、日常とは少し違う"もうひとつの世界"への扉を開き、子どもたちの感性や想像力を大きく広げてくれます。今回のコンサート「終わらない夜」は、子どもたちの初めての芸術体験のために創作したオリジナル作品であり、音楽と物語が溶け合うひとときが、子どもたちを静かに物語の旅へと誘います。
これが初めての劇場体験となる子も多いはずです。ここから舞台芸術の楽しさを知り、これからも劇場に足を運んでみたいと思っていただけたら、これ以上の喜びはありません。未来を担う世代に、芸術の持つ豊かな力を届け続けていくこと、それが公共劇場としての私たちの使命だと考えています。

 

 

 

2026年も秋に「愛知県芸術劇場 舞台芸術鑑賞教室」を開催予定ですので、より多くの皆さんにお越しいただけると嬉しいです。また、「愛知県芸術劇場 劇場と子ども7万人プロジェクト」は、さまざまな対象公演がありますので、ぜひチェックしてみてください。今後も愛知県芸術劇場では、子どもたちが芸術と出会い、心を動かす体験ができるよう、学校や教育委員会と連携しながら、芸術文化体験の機会をさらに広げていきます。

 

愛知県芸術劇場 劇場と子ども7万人プロジェクト
「劇場と子ども7万人プロジェクト」として、愛知県芸術劇場自主事業に小学生、中学生、高校生を招待します。

詳しくはこちら


撮影・編集/村瀬実希(MAISONETTE Inc.)
撮影/愛知県芸術劇場
※ 掲載内容は2026年2月9日(月)現在のものです。

SHARE
  • LINE
  • X
  • Facebook