
2025/08/18
親子でおでかけ&身体を動かすダンス体験「赤ちゃんと踊ろう」
音楽に合わせてゆ〜らゆら♪
赤ちゃんとパパ&ママが音楽に合わせて触れ合うダンス体験ワークショップ「赤ちゃんと踊ろう」が、今年も開催されました。
「赤ちゃんと踊ろう」は生後5か月から1歳6か月くらいまでの乳幼児と保護者を対象に、2017年から毎年開催されている人気シリーズです。講師には、ダンスカンパニー「プロジェクト大山」をお迎え。「保護者なら誰もが参加できるといい」「子育てをする他のパパたちと出会う機会が欲しい」といったリクエストにお応えして、パパ編も好評です。
会場は、愛知県芸術劇場の大リハーサル室。ふだんは音楽、ダンス、演劇などの稽古や発表が行われる創造のための空間が、この日は赤ちゃんの笑い声とパパ・ママたちの笑顔に包まれ、とてもハッピーな時間が流れていました。そんな癒しのプログラムの様子をレポートします。
- 目次 -
プロのダンサーと踊れる夢のような機会! 講師は、「プロジェクト大山」の古家優里(ふるいえゆうり)さんと長谷川風立子(はせがわさつこ)さん
(前より)「プロジェクト大山」の古家優里(ふるいえゆうり)さんと長谷川風立子(はせがわさつこ)さん
「赤ちゃんと踊ろう」の立ち上げから講師を務めているのは、ダンスカンパニー「プロジェクト大山」のメンバーたち。主宰の古家優里さんは、NHK Eテレ「みいつけた!」の楽曲振付を手がけ、「よんだんす」のダツイージョとしてもおなじみです!乳幼児期の育児の大変さについてはよくご存じです。
プロジェクト大山
2006年に主宰の古家優里さんを中心に、お茶の⽔⼥⼦⼤学舞踊教育学コースを卒業したメンバーにより結成されたダンスカンパニー。国内外での数々のカンパニー公演の他、舞台やテレビでの振付・出演など多方面で活躍中です。
Web https://www.projectohyama.net/
Instagram @projectohyama
YouTube @プロジェクト大山
「赤ちゃんと踊ろう」スタートです! フリースタイルが心地いい。思い思いに体を動かしてリフレッシュ♪
2025年5月25日(日)11:15〜12:00の回にご参加いただいたみなさま。この回はたまたま全員がママでした。
赤ちゃんは、広々とした大リハーサル室でうれしそうに走り回る子、抱っこ紐のなかでおねむの子、それぞれのスタイルで参加。昨年参加の方もいらっしゃいました。
まずは自由にお散歩から。
すれ違うときに「こんにちは〜」とお互いに声をかけて、心のウォーミングアップをします。
会場に少しなじんだところで、みんなで輪になって、参加メンバーの自己紹介です。自分(保護者)と赤ちゃんの名前を言ったら、他のメンバーが続けてその名前を呼びます。
アットホームな雰囲気なので、初めての方でも緊張せず参加できます。赤ちゃんも自由にハイハイして、和やかなムードです。
痛気持ちいい〜♡ 簡単ストレッチで、抱っこで凝った体をのび〜
ダンスの動きの練習を兼ねて、体を動かす前のストレッチをします。首や肩、背骨をほぐしながら伸ばします。なかなか家ではストレッチの時間も取れないとあって、みなさん気持ちよさそう。赤ちゃんも一緒にストレッチします。
ママの体に負担がかからない足を使った“高いたかい〜”や、ベビーマッサージなどでストレッチとスキンシップを。
なんとも言えない親子の微笑ましい様子に「天国にいるみたい(笑)」と古家さん。
ゆらゆらダンスでリラックス
水分補給などのちょっと休憩を挟んだら、いよいよメインのダンスです。1曲目は、井上陽水さんの『夢の中へ』。赤ちゃんを抱っこして、音楽に合わせてゆらゆらと体を動かしていきます。みんなで踊ることで一体感が生まれ、ママも赤ちゃんもリラックス。大好きなママの胸のなかでうとうとしちゃう子もいました。
1曲踊りきると達成感があり、清々しい表情が印象的でした。
名曲のリズムに乗って、ストレス発散のダンス!育児中のイライラも解消します
2曲目は、Queenの『We Will Rock You』。1曲目より少し激しめな音楽ですが、リズムがシンプルなので赤ちゃんたちも楽しそう。
「日ごろのストレスを発散させましょう!」という古家さんのかけ声に合わせて、ママたちは元気よく足踏みしていました。
ダンスの締めは発表会&撮影会
最後は『We Will Rock You』のダンスを、ママたちがお互いに撮影しました。
一人で参加しているとなかなか撮影ができないのですが、一緒にいる他のママの協力で赤ちゃんとのひとときを動画で残すことができます。ママ同士の交流もできて一石二鳥です。
ダンスで全身を動かした後は、ストレッチをしてクールダウン。
ママの温もりを感じながら、気持ちよさそうに眠りに入る子も......♡
「お疲れさまでした!」のハイタッチで終了しました。
パパ編も笑顔いっぱいのダンス・ダンス・ダンス!
2025年5月25日(日)14:15〜15:00〈パパ編〉の回にご参加いただいたみなさま。
パパ編では、『夢の中へ』『We Will Rock You』に加え、“赤ちゃんが泣きやむ”とSNSなどで話題になっている、反町隆史さんの『POISON 〜言いたい事も言えないこんな世の中は〜』にもチャレンジしました。一緒にやってきたママは観覧席で見守ったり、栄でひとり時間を満喫したりと、それぞれにリフレッシュされていたようです。
\参加者にインタビュー!/
- たまに親子向けのイベントに参加しています。
子どもと一緒にいながら、自分の体のケアができるのはいいですね。娘は途中寝ちゃいました(笑)/1歳1か月女の子のママ
- 音楽が好きなので、親子でリトミック※ によく通っています。
運動不足が気になっていた私にとっても、今日は程よく体を動かせていい機会でした。/1歳3か月男の子のママ
- 現在は育休中で、積極的に育児しています。
パパが参加できるイベントはなかなか少なく、このプログラムを見つけられてとてもうれしかったです。子どもの体重が増えるにつれて抱っこも大変になってきたので、定期的に運動しないといけないと実感しました。/1歳3か月女の子のパパ
※音楽と身体を使った子どもの能力開発教育
【インタビュー】講師の「プロジェクト大山」古家優里さんと長谷川風立子さん
Interview
今回で9年目を迎えた人気シリーズの「赤ちゃんと踊ろう」ですが、どんな思いで講師を務められていますか?
古家 赤ちゃんと保護者さんが参加できるイベントは世の中にたくさんありますが、その多くは赤ちゃんが主体になっていると感じていました。乳幼児期の育児は体力も使いますし、ストレスもたまりがちです。例えば、寝かけた子どもを抱っこしているときに、「目の前のゴミを拾いたいだけなのに動けない!」なんて、日常のなかで思いどおりにいかないことって、けっこうありますよね(笑)。だからこそ、親が主体になって体を動かせるイベントが必要だと思ったんです。おうちで暇なときにも、今日のダンスをぜひやってみてほしいです。
愛知県芸術劇場とのご縁は、劇場主催公演でダンスさせていただいたことからスタートしました。唐津芸術監督とは出身大学が同じということもあって、子育てについて話を交えながら取り組んでいます。監督ご自身も働くお母さんの気持ちがわかり、子育ての経験がプログラムにも活かされているのかなと思います。
このプログラムの構成の特徴を教えてください。
古家 “親がリフレッシュできること”を目的とした構成にしています。なので、ダンスに使用する楽曲もあえて赤ちゃんに合わせた童謡ではなく、ロックとか大人が楽しめるものを意識して選曲しています。たまにはこういうのも気分転換になって良いですよね。うちの子も小さかった頃は『We Will Rock You』で縦ノリしていました♪
長谷川 幼児向けのダンスは真似するものが多いので、そこから「音楽のなかでもっと自由に動いていいんだよ」という感覚にまで広げていけると、ダンスの楽しさを感じてもらえるかなと思います。
古家 この時期の赤ちゃんは発達にも個人差がありますので、抱っこしたまま参加していただいても、逆に走り回りたい子だったら走ってもらってOKです。親が楽しんで踊っていると、子どもも自然と「自分も♪」という感じで、踊ることに抵抗なくいけるようになるのかもしれません。
また、乳幼児期のお子さんを持つ方は自由に外出する機会も減るでしょうから、「外の世界に出て参加する」ということ自体が、子育て中の充実感につながるんじゃないかなと思います。社会や人との接点を少しでも感じてもらえたらうれしいですね。最後にダンスを撮り合うのもその一環です。
「今後も続けて欲しい」というお声が多く寄せられています。これから参加を検討される方に一言お願いします。
古家 ただただ気軽に参加していただきたいです。「うちの子はすぐぐずるから無理」「うまくダンスできないかも...」なんて心配はいりません。今日も踊っている方もいれば、なんとなくその場にいて見ているだけの方、室外に出て休憩する方もいらっしゃいました。どんな状況でも無理なく関われる、そんなプログラムになっています。
長谷川 お姉ちゃんやお兄ちゃんが参加してくれて、妹さんや弟さんが生まれてまた来てくれるご家族もいらっしゃいます。もっといろいろな方にこの体験をしてもらえたら、きっと楽しいだろうなと思います。
【インタビュー】唐津絵理 愛知県芸術劇場芸術監督(アーティスティックディレクター)
Interview
「赤ちゃんと踊ろう」には、どのような思いが込められていますか?
© Atsuko Chiba
いろいろな方々に劇場へ足を運んでいただきたいと考えたとき、実際に私が子育て中に感じたことは、乳幼児を育てているご家庭は鑑賞公演などのイベントに参加が難しいということでした。託児サービスを利用して、鑑賞することは可能ですが、子どもを預けることに、少しためらってしまうような時もありますよね。そうであれば、子どもと一緒に参加できる場をつくろうと考え、2017年にこの事業をスタートさせました。
「赤ちゃんと踊ろう」というタイトルではありますが、実はパパやママが主役というのが、このプログラムのポイントです。子育て中の悩みやストレスは、同じような状況にある方にしかわかり合えないことも多いものです。この場が、同年代の子どもを育てる保護者のみなさまたちにとって、コミュニティづくりのきっかけになればうれしいです。そして、赤ちゃんが成長していく各段階に応じて、子ども向けのプログラムなどにも継続的に取り組みながら、引き続き愛知県芸術劇場に足を運んでいただける機会を創っていきたいと考えています。
これからの劇場づくりについて、メッセージを一言お願いします。
時代によって社会の環境や制度が変化していくなかで、みなさまにもっと気軽に劇場に足を運んでいただくためにはどのようにしたら良いのか、いつも考えています。ご意見・ご要望がございましたら、さまざまなお声をお寄せください。
「赤ちゃんと踊ろう」は2026年度も開催予定です。自主事業の情報を随時配信している当劇場のWEBサイト・SNSなどを今後チェックください。どうぞお楽しみに!
取材・文/五十嵐一恵 編集/村瀬実希(MAISONETTE Inc.)
※ 掲載内容は2025年8月15日(金)現在のものです。