2026/04/08

みて かんじて たのしもう!愛知県美術館「子ども鑑賞会」で遊びながらアート体験

寺内曜子《Hot Line 68》1986年

愛知県美術館では、さまざまな年代や立場の人々が美術について学べる場を提供することを目的として、教育普及活動を展開しています。なかでも「子どもたちには、早くから美術に触れ、生涯にわたって美術館という場所に親しんでいただきたい」という思いで、小学生から高校生までの児童・生徒を対象にした「子ども鑑賞会を不定期開催しています。小学生と中学生は鑑賞プログラム、高校生は鑑賞と造形によるプログラムを行い、愛知県美術館の「鑑賞学習ワーキンググループ」で鑑賞学習の研究と実践を行っている教員・元教員と学芸員が協力して実施します。
今回は、2026年2月28日(土)の「子ども鑑賞会」(小学生対象)をレポートします。

 

 

みんな集合!愛知県美術館 藤島主任学芸員からごあいさつ

集合場所は、愛知芸術文化センター12階のアートスペースです。ガイダンスでは、プログラム担当の藤島主任学芸員が美術館のことをお話ししました。

 

藤島主任学芸員 
美術館には、アートがいっぱい!
ふしぎなかたちをしたものや、楽しいきもちになったりするものがたくさんあります。きょうはグループのお友だちといっしょに楽しみましょう。

美術館のなかでは、次のことに気をつけましょう。
1つ目は、作品にさわらないようにしてください。作品は大切なものです。未来へ大切に残していきましょう。
2つ目は、走らないようにしてください。作品や自分に事故がないように気をつけましょう。
3つ目は、ふつうの大きさの声でお話しをしてください。見ている他の人の迷惑にならないように、たくさんおしゃべりしましょう。


\美術館へようこそ!/


今回は、2026年1月3日(土)〜3月23日(月)「2025年度第3期コレクション展」と企画展「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(一部)で行いました(会期終了)。

小学生18人が参加し、A・B・Cの3つのグループに分かれて鑑賞ツアーへ出発です。開館中の美術館に入ってワクワク、ドキドキ...。展示室へ向かいます。

 

ゲームやクイズをしながら作品を見て、アートが身近になる楽しい時間

「子ども鑑賞会」では、はじめて美術館を訪れる子どもたちにも安心して楽しんでもらえるよう、グループごとで展示室を巡り、ワークシートなどを使って、遊び感覚で作品鑑賞できる工夫をちりばめています。他のお客さんがいて緊張しがちな場でも、ファシリテーター(案内役)を務める小学校や中学校の教員がやさしく声をかけ、「間違いはないよ」と子どもたちひとりひとりの感じ方を大切にしながら進行。構えず、自由に見ることの楽しさに出会える時間として、リピーターも多く参加しています。


1つ目の展示室

 

みんなで輪になって、自己紹介してからスタートします。そして、ファシリテーターが「きょうのめあて」を発表します。

 

きょうのめあて
・しっかり見る
たくさんの作品を見て、そのときにみんながどんなことを話すのかもしっかり聞きましょう。
・かんじたことをはなす
「私はこう思います」「僕はこう思います」とみんながいろいろなお話しをしてくれると、自分が気づかなかったことも感じることができます。

・作品やグループの人となかよくなる
友だちいお話して、なかよ、なかよくさい。

 

ジャン・デュビュッフェ《二人の脱走兵》1953年

——作品のなかに、何が見えますか?
👦 空!土!
👧 くぼみ!
🧒 にんげんが二人!

 

——作品を見てどんな感じがしますか?

👦 おどっているみたいに見えて楽しそう。
👧 家がないから、悲しんでいる。

——いろいろな感じに見えるね。作品のなかにいる二人はここから飛び出して、旅したいって言っているよ。お友だちとペアになって、この部屋の作品のなかで二人にオススメの場所を探してみよう!

 

エドゥワール・ヴュイヤール《窓辺の女》1898年

 

——これを選んだ理由は?
👧 おうちがあるから。
——きっと二人も喜んでいるね〜。

 


アンドレ・ボーシャン《フィアンセを訪ねて》1928年

 

——これを選んだ理由は?
🧒 おうちがあるから。
——ほんとだ!ここにもおうちがあるね〜。


ピエール・ボナール《にぎやかな風景》1913年頃

 

——これを選んだ理由は?
👦 新しいお友だちがいるから。
——何人もお友だちがいるね。みんな何しているのかな?
👦👧 ピクニック〜!

 

 


2つ目の展示室

アレクサンダー・コールダー《片膝ついて》1944年(1968年鋳造)

 

——これは何に見えますか?

👧 ヤギ!足が4本あるように見える。

——他のみんなは、何に見えるかな〜?じーっと見てみて、なかなか見つからないなって人もいるから、「こんな感じに見えた♪」というポーズを取ってみようか。みんなで、せーの!

 


——いいポーズだね!!



——実は、この作品は6つのパーツでできているの。全部くっついてるわけじゃなくて、やじろべえみたいにバランスを取りながら倒れないようになっているんだよ。見る向きによって、いろいろな見え方になるよ。

 


3つ目の展示室

 

——ここでは、「アートかるた」をします。かるたゲームを通じて、作品に注目し、お友だちとなかよくなりましょう。読み札の言葉を聞いて、その内容に合う作品を部屋のなかで選んでください。最初は「はぁ つめたい きもちいいな」。さぁ、どれだ?みんなで、せーの!




👦👧 これ〜っ!



(左より)熊谷守一《雨水》1959年、熊谷守一《水仙》1956年 両作品とも木村定三コレクション

 

——2つに分かれました。《雨水》を選んだ理由は?
👦 足みたいに見えたから、水に浸かって気持ちいいんじゃないかなって思った。
——なるほど!《水仙》を選んだお友だちはどうかな?
👧 お花の気持ちになったら、気持ちいいなって思った。
——読み札の言葉は一つでも、選んだ絵は違ったね。そのどちらも正解。みんなが思った絵が正解になるよ。じゃあ今度は、読み札を作ってみようか!
👧 4つのたまご。
——「4つのたまご」はどれだ?みんなで、せーの!



 

👦👧 これ〜っ!
——みんないっしょだね。じゃあ、実際の作品を見に行こう!





熊谷守一《たまご》1959年 木村定三コレクション


——展示室内をぐるりと一周して、他の作品も見てみよう!


熊谷守一《少女》1963年 木村定三コレクション


藤島主任学芸員 赤茶色の輪郭の線は、削ったように見える?実は、塗り残してあるんです。わかるかな?最初に赤茶色を塗っておいてから、そこに絵の具が入らないように、他の色を重ねています。この輪郭線の描き方は、熊谷守一さんという画家の特徴なんですよ。

 

美術館の思い出になる、ゴッホ展のイマーシブアート体験

 

コレクション展と同時開催の「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」では、フィンセント・ファン・ゴッホの《画家としての自画像》(1887年12月-1888年2月)を見たり、イマーシブ・コーナーで絵画の世界に没入したりしました。他のお客さんに配慮しながら短い時間の鑑賞でしたが、子どもたちの記憶に残る体験になったようです。

 

子ども鑑賞会の後には、子どもたちから「楽しかった〜!」という声が集まり、親御さんからも「親子で美術についての会話が増えるきっかけになって嬉しいです」と好評でした。みなさま、ありがとうございました!愛知県美術館の観覧料は中学生以下無料です。また、気軽にお越しください!

 


\子どもたちにインタビュー!/

 

藤島主任学芸員からメッセージ

Message

 

プログラムに関わられている思いをお聞かせください。

子どもたちの美術との出会いを大事にしています。初めてでもなんど見ても、作品から何かを感じて、子どもたちが自ら進んで楽しめるプログラム作りを行っています。ファシリテーターの教員の方々は、いつもアイデア満載です。

 

実施された際の気づきや印象的なエピソードは?

子どもたちの発言から、作品の新しい見方のヒントをもらうこともあります。子どもの視線の位置から見ると、今まで気づかなかったことが見えてきたりも。子どもたちとの対話は発見の時間です。

 



これから参加される方へメッセージを一言お願いいたします。

同年代の子どもたちが集まって、ゲームをしたりおしゃべりしながら作品を楽しみます。一緒にお気に入りの作品を見つけませんか。

 

 

2026年度も開催予定です。

愛知県美術館の公式サイトでご案内しますので、どうぞお楽しみに!

愛知県美術館 公式サイト

 


撮影・編集/村瀬実希(MAISONETTE Inc.)
※ 掲載内容は2026年★月★日(★)現在のものです。

SHARE
  • LINE
  • X
  • Facebook